2019.07.11ピアノ・ブログ・レッスン
藤沢市・ピアノ教室MARE鵠沼海岸です。「寄り添う音楽」
神奈川県藤沢市のピアノ教室MARE鵠沼海岸です。
日々ピアノを教えたり弾いたりしています。
昨日の夕刊を読んでいたら(毎日新聞)特集記事に大河ドラマ「いだてん」のことが書かれていました。
私はドラマは見ていませんが、今年は1年を半期ずつに分けて、主人公も勘九郎さん、阿部サダヲのお二人が交代なんだそうですね。
脚本は宮藤官九郎(あまちゃんのクドカンさんですね)、ドラマ音楽は大友良英さん(あ、あまちゃん)という取り合わせ。
大河ドラマというと、何かと視聴率のことが話題に上がりますが、今回のいだてん、出だしこそ視聴率がよくなかったのにジワリジワリと上がりつつあるそう。
別に私は大河ドラマの視聴率の話がしたいわけではなく、大友さんの言葉にハッとしたからなのです。
ー大友さんは、関東大震災後を描いた第24回に出演した。バンジョーを弾きながら少人数のバンド編成で避難所を慰問する役だ。
「画面に映るのは3秒ほどですが、当時流行していた『復興節』を演奏したんです。音楽の役目は、翻弄されながら生きる人に寄り添っていくことですから。」ー(2019年7月10日(水)毎日新聞夕刊・特集ワイドより)
音楽の役目はとはなんぞや、と言われたら人によって答えは違うかもしれません。
毎年繰り返される地震による災害や水害。
私の記憶に鮮明なのは阪神大震災、オウム真理教の一連の事件の中でも特に地下鉄サリン事件、そして東日本大震災。
こういったことが起こるたび、水や食べ物や寝る場所が提供できるわけではない、傷ついた人々に直接何かできるわけではない、と
無力感にさいなまれます。本当に。
でも、モヤモヤしながら少したつと音楽にできることが何かあるんじゃないかと考えるのです。音楽の役目。
札幌に住んでいた間、病に倒れられた方のお宅を訪問して演奏する「音楽のお届けもの」をしていました。
いずれの方も、重い病気のためにほぼ寝たきりの方です。音楽会に足を運ぶのが難しいので、それならばと押しかけて演奏するわけです。
ご本人が音楽好きだから、なんとか聴かせてあげたいというご家族のご希望だったり、
ご家族が音楽が好きなんだけれど、介護のために家を空けられない、という理由のこともありました。
あらかじめリクエストされることもありましたし、ホールでの演奏会仕様にプログラムを組み、印刷し、正装で演奏させていただきました。
終演後はお客さまとお茶をいただきながらおしゃべりをして・・・。
お届けしているはずが、私の方が様々な思いや言葉をいただいてきた気がします。
おしゃべりする中で、本当に演奏を喜んでくださっていると実感できると、少しは寄り添うことができたかしらと思えました。
寄り添うという言葉は、うつくしいと感じます。
抱きつくのではなく、隣に座って手を重ねているような。言葉もなくただ黙って。
また、「気持ちに寄り添う」という言い方をすることもありますが、こちらはどうでしょうか。
相手の欲することを想像して、やはり静かに心を重ねるようなイメージでしょうか。
それでは、心に心をそっと重ねるような音楽とはどんなものでしょうか?
容易には答えは見つかりません。
さらに、日々取り組んでいるこういったことを、次の世代に引き継ぎたい気持ちもあります。
プロの演奏家だけが寄り添うことができるわけではありません。
トゲトゲしたささくれ立ったことも多い昨今だからこそ、真剣に考えて見たいものです。
寄り添うこと、寄り添う音楽。