2020.09.25ピアノテクニック
ピアノが上手になりたいひとへ、お伝えしたいこと・part2


前回、ピアノが大好きで
もっと上手になりたいと切望している人へ
と称したコラムを書きましたが
さらにお話しできることがありそう・・・
というわけで、第2弾です。
昨日のコラムでは、以前の私が
なぜ自分がうまく弾けないのか
わかっていない中での
むやみな練習だったことを書きました。
その後、少しわかり始めたのは
高校生になってからです。
1. そもそも脱力が必要なのか?
他のピアノ教室ですでに手ほどきを受けた
生徒さんと出会うと、そのほとんどが
私のように、何がダメなのかわからず
駆け込んでくるわけですが
脱力奏法(重力奏法とかロシア式とか)のダの字も
知りません。という方と
聞いたことはありますが、という方
半々ぐらいの割合です。
子どもか大人かに関わらず
多くの生徒さんが、真面目にピアノに取り組み
ある程度の難易度の曲を弾けます。
弾けますが、腕や肩が固くこわばって弾くので
難しいパッセージでは苦労します。
「ゆっくり」や「リズム練習」等取り入れて
本当に真剣に練習して、苦しんでいる・・・。
本来であれば、不必要=ムダな力が加わっているので
流れが悪く、循環できない音楽になってしまうのです。
そもそもの「脱力」とは
不要な力を抜いて、コントロールできるように
なるために必要です。
2.「 脱力」によって得られるもの
ずばり「美しい音」です。
脱力することに注意が向くと
自分の音を聴くようになります。
そこでようやく、音色の種類を増やしていこうと
新しい目標ができます。
ピアノは、いったん鍵盤を下ろして
音を鳴らすと、減衰していく楽器です。
「ドー」とのばしながら大きくなるのはあり得ない。
ですから、打鍵後は「不必要な=ムダな」力を加えず
重力におまかせなのです。
『打鍵後は力を抜く=リラックス』
することによって、美しい音を響かせることができるのです。
また、脱力した状態で弾くことができれば
長時間の練習をしても、腕や肩をかためていないので
痛くなりません。
指を速く動かすことも、脱力によって得られる
テクニックです。
3. 人前での演奏だって、バッチリです。
みなさんは人前での演奏時は緊張しますか?
私は緊張します。
人がどれぐらい緊張しているかは
わからないものなので
「緊張しているようには見えない」と
よく言われますが、緊張しているのです。
ただ、緊張をコントロールしているかもしれません。
若い頃は、あまりに緊張しすぎて
ほとんどパニック状態に陥り
何度となく失敗しました。
それまでの繰り返しの練習、時には泣きながらの練習・・
ムダになってしまったと落ち込む。
でも、失敗も学びのひとつですよね。
適度な緊張は、興奮状態になって演奏にも
よい影響をもたらしてくれます。
そして、脱力ができていればフィジカルな面でも
コントロールができるので
普段の練習よりもダメだったなあ、ということが
あまり起こらなくなります。
あまり、と書いたのは
脱力とは別の原因で起こるので
それはまた他の機会に。
4. ピアノはオーケストラ
ピアノという楽器は、多くの楽器の代わりに
活躍することができます。
交響曲も弾けるし、ヴァイオリン協奏曲の伴奏も
できます。
さらに
ピアノ曲として書かれたものも
オーケストラのように、弦楽四重奏のように
フルートソナタのように演奏できます。
多くはみなさんの多彩な想像力を用いて
それを実現するために、自由にコントロールできる
体が必要です。
5. 私のピアノ教師としての夢
ピアノを弾くためには、脱力さえマスターすれば
いいわけではありません。
しかしながら、上に書いたように
様々な表現のおおもとです。
今現在、私と一緒に「脱力奏法」の旅に
出発した生徒さんのほとんどが
「どうしたらいいのかわからないでいた」ことは
私にはすごくショックでした。
こんなにピアノが好きで
弾きたいと思っている曲があって
熱心に取り組んでいるみなさんが
喜びよりも、苦しみの方が強い練習をしているとは。
私のレッスンは、かなり熱め・濃いめです。
「あ〜、疲れた〜。」
と帰って行かれる方ばかりです。
でもその疲れは、心地よい疲れだと言っていただけます。
一人でも多くの方に
自由に表現する楽しさ
美しい音を奏でる心地よさ
を、体感していただきたいと思います。
苦しい練習から解放される人が増えますように、と
思いながらレッスンしています。
どうぞ、お気軽にお問い合わせください。