2022.01.09ピアノ
【ピアノ】悩ましい楽語のニュアンス


湘南・藤沢市のピアノ教室MARE鵠沼海岸です。
数日前の雪から一変して、日中は過ごしやすい日曜でした。
お正月ボケからレッスン一色の一週間を過ごし
楽しいながらもクタクタ。
疲れたけれども、生徒さんの途切れることのない情熱に
私も触発されましたよ〜!
さてさて
昨日のソルフェージュレッスンでの一コマ。
Sくんと、練習中の曲から楽語を引っ張り出してきて
ちゃんと意味を知っているかな?表現できているかな?と
ワイワイ楽しみながら探索しました。
ベートーベンやモーツァルトに比べ
ショパンにはたくさん書かれているねー!と再確認。
そこにあった「smorzando=ズモルツァンド」の指示。
だんだんと消えていくという意味の楽語です。
これについて、私は子どもの頃に
「煙が消えていくように」と教わった記憶があります。
楽語の多くはイタリア語なので
(作曲家によってはドイツ語、フランス語ですよ。)
イタリア語を習ってからは、その言葉の持つ細かいニュアンスが
気になるようになりました。
消えていくように演奏しなさい、という指示をあらわす楽語が多いので
そのビミョーな違いはどうなんだ?と
最近もっぱらお世話になっている
「これで納得!よくわかる音楽用語のはなし」(全音)で調べて見ました。
calando(カランド)=だんだんと速さ、音量を落とす
元の言葉はcalare(カラーレ)上から下に下がるという意味。
ニュアンスはゆっくりとつかまりながら、降りていくということなんだって。
morendo(モレンド)=消えるように
元はmorire(死ぬ)の動詞。死に絶えるというニュアンス。
smorzando(ズモルツァンド)=モレンドと同じような意味を持つ
これは動いているものを制止させる時に使うニュアンスがあるそうな。
例文では、消防士が鎮火させるというように使われています。
私が子どもの頃に聞いた煙が関係しているようにも思えますね。
perdendosi(ペルデンドースィ)=これもモレンド、ズモルツァンドと同じく
原形はperudere、前にあったものが無くなるという意味。
少し難しい説明が加えられているので割愛しますが
テンポや音量を下げて消えていくだけではなく、表情・感情も含め
無くなっていってしまうニュアンスを持ち合わせてはどうか、
「我を失う」ようなニュアンスを持つと表現できるのでは?と
著者は説明しています。
レッスンではいろんな妄想をしてみます。
妄想を自分の胸にしまっておきたい生徒さんもいるし
いっしょに考えながら、想像が過ぎて笑ってしまうことも。
ちょっと難しい、という人にはヒントをあげると
サラサラと言葉が出てきて
その世界を想像しながら
その色を想像しながら
悲劇のヒロインになってみたり
森の妖精になってみたり。
そうすると、本当に不思議だけれど
音自体もかわるし
その人が演奏するその曲も
ぐーっと変わって、個性が出てきます。
いつも皆さんに言っている事ですが
究極的には
どんな弾き方をしてもかまわない。
それが表現されているものなら。
それが美しいとか
心を動かされるものなら。
楽譜に書かれている事だったり
音の出し方だったり
楽譜の解釈だったり
1人で弾いていると難しい、悩ましいことを
いっしょに考えたり
少しリードしたり
そんなことが私にできることです。
ご一緒にピアノの世界を味わいませんか?
教室には幼児からシニアまで
たくさんの方に
ピアノを楽しんでもらっています。
写真は蝋梅の花